ベンチュラーウォーカー
富士山 その82013年9月11日
①空気圧が上昇しない?
②タイヤに窒素を充填すれば 乗り心地がよくなる?
③燃費がよくなる?
①は解決済み
タイヤに入れるガスの営業の方が来られたお話を富士山その7で紹介しましたが
学生時代 ショップのおじさんにも だまされそうになった(笑)
サーキットに行く前 ブレーキパッドを買いにショップを訪れました
そして何気なく
「このブレーキオイル 見た事ない銘柄やね」
と話しかけたら
「このブレーキオイル ちょっと高価だけど これ入れたら
他のブレーキオイル入れられないんだよ
すげー ブレーキのタッチがよくなって よく効くようになる
やみつきだよ 君もいれてみなよ
これも持って帰りなよ」
とすすめられた事がある。
高校時代に液体の圧縮率は0と考えていい と習ったのに
なんでタッチが良くなるんだ??
もちろん厳密に言えば 液体の種類により 圧縮率は違うだろうけど
同じ系統の液体で圧縮率がかわるのか?
DOT3 DOT4 DOT5 でブレーキ液の沸点は変わる
数字が大きくなるに連れて沸点が高くなる
ブレーキパッドトローターの摩擦熱が
パッド摩擦材→パッドのバックプレート→ブレーキキャリパーピストン→ブレーキ液
と熱が伝わる
過酷な使用をすれば ブレーキ液が沸騰して ブレーキキャリパー内で気泡ができる。
液体の圧縮率は0でも気泡は圧縮されるので ブレーキがスポンジーになる。
だからサーキトではDOT4かDOT5を使用します。
昔 オートメカニックという 雑誌で実験されていたことがあります
なんと ブレーキ液を抜いて 水を注入するのです。
結果は?
もちろん きっちり効きます
ただ 水は沸点が1気圧で100度
気圧の低い 富士山5合目ではだいたい 90度
富士山5合目からの下りなら すぐにキャリパー内の水が沸騰して
たちまちブレーキが効かなくなる
その上錆びるから 使えない
ブレーキ液の沸点は
DOT3 約200度
DOT4 約230度
DOT5 約260度
このように沸点の性能差はあるものの 圧縮率の差は同じ系統の液体では
ほとんどないはず。
ブレーキを踏んだ時に圧力が逃げる部分はたくさんある。
ブレーキホースの膨張
マスターシリンダー取り付けバルクヘッド部分のたわみ
(青色の線がエンジンルームと室内を遮断している鉄板)
ブレーキキャリーパー剛性
片押しキャリパーならキャリパーボルトのブッシュのたわみ
ブレーキオイルの圧縮率の性能差があると仮定しても
上記部分で力が逃げてしまうので 絶対にブレーキオイルの性能差で
タッチが良くなるなんてありえない。
ブレーキタッチを改善するには
ブレーキホースを膨張しにくい メッシュホースに交換
マスターシリンダー取り付け部分の補強
モノブロックの高剛性の対向キャリパーに変更
片押しキャリパーならキャリパーブッシュをテフロン材に交換
など 対策はある。
ショップのおじさんが言っていたタッチがよくなるは おじさんの気のせい(笑)
いや 売りつける為にうそを言った(笑)
タッチが良くなるならまだかわいい。
効きが良くなるなんて オカルト的です。
圧縮率が少ない液体は 地球上の常温で唯一液体で存在する水銀でしょう
ブレーキ液を抜いて水銀を注入すれば圧縮率も少ない上に沸点も高い
でも熱伝導率が高すぎて ブレーキホースがだめになるだろう。
それ以前に高額な上 体に悪い
と馬鹿な事を考えました。
結論は ブレーキマスターシリンダー内のブレーキ液の圧力による圧縮率は
高校で習ったように0と考えて問題ない ショップのおじさんの感覚は間違っている
と結論付けた20歳の僕は
そんな高いブレーキオイル 買われへんわ バイト先のガソリンスタンドで
ただで分けてもらえるからいいわ
と丁重にお断りをしました。
つづく・・・